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2019年1月18日

法人設立がワンストップ、オンライン化でスピーディに?

2019年より法人設立手続きのオンライン化、2020年には設立後の
申請手続きも全てワンストップ化を実現するために2017年より検討会が
行なわれているのをご存知ですか?

■なぜ法人設立のワンストップ化、オンライン化が急がれているのか?

世界銀行が行なっているビジネス環境ランキングが発端となっているようです。
「新規参入」「建設許可の取りやすさ」「電力供給」「不動産登録」「資金調達」
「投資家保護」「税金の支払い」「海外貿易事情」「契約履行」「破綻処理」の
10項目からなるこのランキングですが、法人設立分野は、2018年度は
OECD(経済協力開発機構)加盟の35か国中24位と低水準となっており、
これを重くみた政府が法人設立数の増加、手続きの簡素化へ乗り出したようです。

しかしながら2019年のランキングでは前年よりもさらにランクを5つ落とし
トータルで39位と落ち込んでおり、さらに「起業のしやすさ」に関しては93位
という結果。

政府は先進国中3位までにランクを上げたいという指標を掲げていたようですが
設立数が増えても閉鎖の手続きなども行なわれず数年で放置されてしまう
休眠会社が続出してしまうのでは、現在法務省が手がけている「みなし解散」
の対象が増加する結果となることも懸念されます。

■現在行なえるオンライン化の手続き

現在は法人設立にあたっての必要な手続きについて、すでに一部
オンライン申請が可能となっていますが、
・ 電子定款の認証は公証人役場での面前確認
・オンライン申請であっても会社代表印の書面提出
が必要となっています。

加えて煩雑な手続きが非常に多く、結果として手続きの不備、漏れ、
登記懈怠に至るケースも多いのではないでしょうか。

もちろん、煩雑な手続きであっても所定の期間内に届出をすることは
法人設立を行なう上での義務であることには変わりなく、
必要書類の提出や面前確認についても、犯罪目的での法人設立や
虚偽申請を防止する役割、書類の不備を補正するなど、公証役場、公証人
が目視で確認をしているのが現状です。

この公証人の面前確認について「起業を阻害している」
「不正の抑止力はなっていない」という理由から撤廃についても議論され
面前確認が必要ゆえに法人設立完了までの時間がかかることが
法人設立数の伸び悩みという捉え方もあります。

一方で法人設立の面前確認において申請数の55%にも及ぶ補正が
発生しているというデータが出ており、申請者側の注意と必要書類
について理解の上作成をすることは大前提として、まずはオンライン化
に先立ち、書類作成時のミスや添付漏れなどが発生することで申請が
滞らないための仕組みづくりも求められています。

そのひとつとして提唱されているのが「モデル定款」ですが
モデル定款の導入には慎重になるべきとの声もあります。

特に公証人による面前認証を継続すべきとの声は法務省から上がっている
ようですが、これにも理由があるようです。

■モデル定款とは?

欧米諸国でも行なわれている「定款認証」を不要とし特別の法的地位を
有する定款のことで、書類のひな型とは異なります。

現在検討されているモデル定款での法人設立を運用しているのはイギリスですが、
イギリスの会社法では「会社の目的」を定款に記載することが不要であり
設立を行なうエージェントが設立済みの会社を販売するといったことが行なわれて
いますが、「会社の目的」が設立の前提となる日本の会社法、設立の仕組みが
大きく異なるため、イギリスをモデルとしたモデル定款導入により定款認証の
制度を変えることでダミー会社等の不正な起業、設立後のコンプライアンス違反
が多く発生してしまうのでは?という懸念ももたれています。

法人というものの根幹にも関わる部分であるため慎重論が出ることは
当然といえば当然です。

■印鑑→電子署名への移行のきっかけとなるか?

面前確認と併せて法人設立のワンストップ、オンライン化を妨げているのが
「印鑑証明」の問題でしょう。
電子署名については印鑑よりも盗用や不正複製をされる可能性が少なく
安全性が高いといわれています。
印鑑紛失の心配もなく、税理士に預けているので必要になっても手元になく
すぐに利用できないなどという煩雑さからも解放されます。

■どのような手続きがオンライン化される予定なのか?

まずは登記後の手続き(税務署、社会保険関連の申請など)を一元化し
2020年度中には登記手続も含めた全手続のワンストップ化へ向けて
検討が重ねられています。

登記手続きの完了後も、新設法人は以下の手続きと届出が必要ですが
オンライン申請とひとくちにいっても4つのシステムで個別に実施する必要があり、
手続き全体像がわかりづ らく、申請のための負担も大きいこともネックです。

・「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと・供託ねっと)」
∟登記事項証明書、会社代表印印鑑証明書取得

・「e-Gov」
∟労働基準監督署:設立届
∟公共職業安定書:設置届
∟年金事務所届出:新規適用届

・「e-Tax」
∟国税庁(税務署):設立届出

・「eLTAX」
∟道具府県・市町村税事務所:地方税届出

これらのシステムのログイン情報はそれぞれ個別のものとなっているため
スピード化やワンストップ化を謳うのであれば、APIサービスを利用し
同一ログイン情報で完結できるようにするなどの施策も必要でしょう。

また、現在はオンライン申請を行なっても電子定款認証手続が完了するのに
依頼日から約7日間(土日祝日を含む)を要しますが、マイナンバーカードと
マイナポータルを利用することで24時間以内に設立できることを目標に掲げています。

しかし、スピード化をし24時間以内に登記完了をすることで具体的にどのような
メリットがあるのか?と疑問視する声も上がっているようです。
現時点でのオンライン申請のメリットはなんといっても定款印紙代発生しないため
窓口申請に比べて40,000円の費用が軽減されることでしょう。

■法人口座の開設もオンラインで可能になる?

法人口座設立も電子化に向けて、提出書類を電子書類で受け付ける動きあり。
∟ただし、犯罪移転収益防止法に伴う全銀協等の勧告もあり、全オンライン化に
踏み切るには二の足を踏む金融機関もあるようです。

法制度の観点からいえば、口座開設のオンライン化は十分実現可能のようですが、
2011年頃より多発したマネーロンダリングや振込詐欺等の犯罪目的による
バーチャルオフィス住所を用いた口座開設が行なわれた事例によって
犯罪移転収益防止法の改正、全銀協からの審査の厳格化の通達があり
「バーチャルオフィスの住所では口座開設ができない」という現象が多発した
流れになっていきました。

本来、銀行は口座開設をどれだけ行なっても大きな利益にはならないため、
融資を受けてくれる法人でないと口座開設をしてもメリットにはなりません。
加えて、融資可能となる3期を待たずして閉鎖したり倒産してしまう法人に
リソースを割くよりも既存の顧客が融資を受けてくれることの方が重要だと
考えているのでしょう。

そういった背景が前提であるため、法改正直後より現在まで一環して
法人自体ではなく住所のみで判断されてしまったり、必要書類が揃っており
事業内容や代表者個人に問題がなくても新規口座の開設に消極的な姿勢を崩さない
金融機関も存在するのは確かです。

■現在どの程度までオンライン化は進められているのか?

2019年度中に主要な中小企業向け補助金、法人共通認証基盤、社会保険の
ID/パスワードのワンスオンリー化が目標となっていますが、
これらを利用するにあたっては、別途APIソフトの導入を行なう必要があります。

主に労務管理ソフトのAPI連携機能やオプションを利用してe-Govと連携させますが
クラウド型の少人数から利用でき比較的安価なものから、ネットワークを利用した
高額なものまで多種多様です。
導入についてはAPI対応ソフト導入支援が検討されているようですが、具体的な
内容までは発表されていないのが現状です。

▼参考
http://www.e-gov.go.jp/help/shinsei/api_software/index.html

人事や総務の担当者が対応することがほとんどで多くの人がID、パスワードを
共有することは少ないものの、管理体制を見直したり、運用上のルールを制定
したり、 オンライン化を進めるためには仕組みづくりも必要です。

■2020年度のワンストップ、オンライン化は本当に実現可能なのか。

国内の中小企業数は全体の企業数の7割とも言われていますから、そのすべてに対して
オンライン化を浸透させるには、告知も全く足りていない状況ではないかと思います。
アンテナを張っている一部の事業者、社労士などの有資格者は例外として、
このような動きがあるということを認識していない企業もまだ多いのではないでしょうか。

ワンストップ化、オンライン化はひとつの手続きでカバーできる申請について
積極的に進め、誰でも手続きが行なえるようシンプル化することが望ましいでしょう。

決してランクアップありきのような施策にならないよう、堅実に進めてもらいたいですね。

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